急性中耳炎
acute otitis media
急性中耳炎
acute otitis media
目次
赤ちゃんが夜中に急に泣き出したり、耳に手を当ててむずがるようなことがあれば、それは急性中耳炎かもしれません。急性中耳炎は急に耳が痛くなるのが特徴で幼い子どもに多い病気です。早期に適切な治療を行えば痛みはすぐに治まります。悪化する前に早めにご来院ください。
急性中耳炎は、子供によく見られる疾患のひとつで、特に乳幼児に多い耳の病気です。1歳までに半数(約50%)、3歳までに大部分(約85%)の小児が一度はかかり、7歳以降では激減します。
急に耳が痛くなるのが特徴で、多くはかぜや、強く鼻をかんだことなどをきっかけにおこります。特に乳幼児の場合は半数以上がかぜに引き続いて起こります。そのため秋から冬のかぜが流行する時期に一致して多くなります。
しかし、近年の共働きの増加などによる低年齢からの保育園・幼稚園・認定こども園などの集団保育施設への入園に伴い、入園当初は様々な病気にかかりやすくなり、急性中耳炎も入園直後から1~2カ月の間にもかかりやすくなります。
中耳は通常、無菌状態であり、中耳の中の空気は鼻から耳管を通って入ってきます。空気だけが中耳に入ってくれればいいのですが、かぜをひいて鼻水がたまっているようなときが問題です。鼻からウイルスや細菌などの病原体の混じった空気が耳管を通って中耳に入り、ウイルスや細菌に感染することで急性中耳炎がおこります。中耳にウイルスや細菌などの病原体が侵入して感染を起こすと、炎症をおこして膿(うみ)がたまり、鼓膜が赤くなり腫れてしまいます。その結果、耳が痛くなったり、聞こえが悪くなったり、熱が出たりするのです。
急性中耳炎の原因となる菌は急性副鼻腔炎と同じで大多数が肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスであり、3大原因菌といわれています。
急性中耳炎が進行すると、鼓膜に穴が開き、耳だれが出ます。炎症が治まると鼓膜の穴も自然に閉じますが、急性中耳炎を繰り返すと、穴がふさがらず残り、慢性中耳炎に移行することもあります。
ある程度の年齢になれば、「耳がいたい」あるいは「耳がつまったようで変」などと症状を自分で訴えることができます。しかし、自分で症状を訴えられない幼い子どもの場合は、保護者が急性中耳炎を意識して観察していないと見過ごされることがあります。
以下のようなことに注意してお子さんの様子をよく観察してあげましょう。また、耳だれに気づき受診することもありますが、この場合は、急性中耳炎の状態としてはかなり重症であり、症状が進んでいることを意味します。
急性中耳炎のサインかも
しきりに耳を触る、耳を押さえるしぐさをする
機嫌が悪い
夜間の不眠
急に泣き出す
他に明らかな原因がないのに発熱が続く
たまき耳鼻咽喉科では症状に合わせて次のような治療を行っています。
薬物療法(抗菌薬など)
初期や軽度の場合は抗菌薬を投与しないこともあります。
鼓膜切開(膿の排出)
重症の急性中耳炎や抗菌薬で効果がみられないときは、鼓膜を切って中の膿を出します。鼓膜は普通数日で再生し自然にふさがりますので心配はいりません。
鼻処置や鼻水の吸引
感染を進めないために、鼻処置や鼻水を吸引することにより耳管の入り口周辺を清潔に保ちます。
鼻水が多く鼻がつまっている場合は片方ずつゆっくり鼻をかませてあげましょう。新生児や乳児の場合は鼻をかむことができないため吸い取ってあげましょう。
急性中耳炎は大人に比べ子どもに圧倒的に多い病気です。その原因は2つあります。
1つ目は、鼻と中耳とをつないでいる耳管(じかん)の機能と形です。乳幼児の耳管は大人に比べると太く短くまた角度が水平に近く、機能も未熟です。そのため、鼻やのどのウイルスや細菌といった病原体が簡単に中耳に入ってしまいます。また、小さいうちは上手に鼻がかめないため鼻すすりが習慣になっている子どもも多く、そのような場合では中耳の中の圧力が下がり、鼻の中の病原体を中耳に吸い込みやすい状態になっているため急性中耳炎を起こしやすくなっています。
2つ目は、感染に対する抵抗力が弱いことが考えられます。そのため乳幼児は様々なウイルスや細菌に感染しやすく、急性中耳炎にもかかりやすくなっています。
急性中耳炎は他人に感染することはありませんが中耳の感染症ですから体育は見学するようにしましょう。水泳ももちろん見学です。入浴は高熱が出ている時以外は構いません。
治療を受けながら通学している場合、昼食後の抗菌薬があれば忘れずに持参させましょう。治療が始まると痛みや熱の症状は治まってきますが、鼓膜の状態が正常な状態に戻るにはその後数日かかります。耳鼻咽喉科で鼓膜の状態がもとに戻ったかを確認してもらうまで指示通りお薬を続けましょう。
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