
耳のかゆみ・痛み
耳のかゆみ・痛み
「耳がかゆい」「耳の奥がズキズキする」といった耳の不快感は、日常生活の中で多くの方が一度は経験する症状です。軽いかゆみであれば自然に治ることもありますが、中には重大な疾患が隠れているケースもあるため、油断は禁物です。特に耳の痛みは、炎症や感染症などによる体の異常のサインであることが少なくありません。
耳は「外耳」「中耳」「内耳」と三つの構造に分かれており、それぞれに異なる役割と疾患があります。かゆみや痛みがどの部分で起きているかによって、考えられる病気や対処法も変わってきます。たとえば、耳の入り口付近がかゆい場合は外耳の炎症、耳の奥に響くような痛みの場合は中耳の炎症を疑います。
このように、耳のかゆみ・痛みは些細な違和感に見えて、耳の健康全体に関わる大切な症状です。ここでは、耳のかゆみや痛みが起きる原因、代表的な症状、そして耳鼻科で行う検査方法について詳しくご紹介いたします。
耳のかゆみや痛みを引き起こす原因は多岐にわたります。主な要因としては、以下のようなものが挙げられます。
最も一般的な原因のひとつが「外耳炎」です。これは耳の穴から鼓膜までの「外耳道」と呼ばれる部分に炎症が起こる疾患で、耳かきのしすぎや、イヤホン・補聴器の長時間使用、あるいは水泳や入浴後の水分残りなどが原因で発症します。初期はかゆみから始まり、炎症が進むと痛み、腫れ、耳だれなどの症状が現れます。
風邪や鼻炎、副鼻腔炎などの感染症が原因で、耳の奥にある「中耳」に炎症が起きる病気です。特に子どもに多く見られ、鼻の奥と中耳をつなぐ耳管を通じてウイルスや細菌が侵入します。中耳炎では、耳の奥の強い痛み、発熱、難聴などが特徴的です。
シャンプー、洗顔料、金属製のピアスなどに対するアレルギー反応が、耳の皮膚に炎症やかゆみを引き起こすことがあります。また、アトピー性皮膚炎の患者では、耳周囲に湿疹やかゆみが出やすい傾向があります。
外耳にカビ(真菌)が感染する「外耳道真菌症」もかゆみの原因となります。湿度が高い時期や、イヤホン・補聴器の長時間使用で耳内が蒸れやすくなることで発症リスクが高まります。放置すると慢性的な炎症や聴力低下を招くことがあります。
耳垢(みみあか)は本来、耳を保護する役割を持っていますが、過剰にたまると外耳道をふさぎ、かゆみや圧迫感、軽い痛みの原因となります。自己流の耳掃除で耳垢を奥に押し込んでしまうと、外耳炎を引き起こすリスクもあります。
綿棒や爪で耳の中を傷つけたり、子どもが小さなものを耳に入れてしまったりすることで、外傷性の炎症や感染が起きることもあります。特に痛みが急に強くなった場合は、異物や傷が原因の可能性があります。
耳のかゆみや痛みは、その原因によって異なる症状が現れますが、共通して見られる代表的な症状には以下のようなものがあります。
特に「痛み」がある場合は、炎症や感染の進行が疑われるため、自己判断で様子を見るのではなく、耳鼻科での診察を強くおすすめします。症状が軽いうちに適切な治療を受けることが、回復の早道です。
耳鼻科では、耳の状態を正確に把握するために、いくつかの検査を行います。問診と視診を中心に、症状に応じて次のような検査が実施されます。
耳鏡検査
耳鏡(じきょう)という専用の器具を用いて、耳の中を直接観察します。外耳道や鼓膜の状態をチェックし、腫れや炎症、耳垢の詰まり、耳だれの有無などを診断します。これにより外耳炎や中耳炎、異物混入の可能性を判別します。
鼓膜の動きの評価(オトスコープなど)
中耳炎が疑われる場合は、鼓膜の動きを確認するための検査を行います。中耳に膿が溜まっていると鼓膜の動きが悪くなり、それが視覚的に確認されます。
細菌・真菌検査
耳だれや湿潤した皮膚がある場合は、分泌物を採取して、感染している菌や真菌(カビ)を特定する検査を行います。これにより、最も効果的な抗菌薬や抗真菌薬を選択できます。
聴力検査
痛みとともに聴こえにくさがある場合には、聴力検査を実施することがあります。中耳炎や鼓膜の異常によって音の伝達に影響が出ていないかを確認します。
アレルギー検査(必要に応じて)
かゆみの原因がアレルギーと考えられる場合は、血液検査や皮膚テストを行い、アレルゲンの特定を試みます。
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