
「聞こえが悪い」と感じる
「聞こえが悪い」と感じる
「聞こえが悪い」と感じることは、誰にでも起こり得る耳の不調のひとつです。会話が聞き取りにくくなったり、テレビの音量を上げたくなったりする経験はないでしょうか。こうした状態は「難聴」と呼ばれ、年齢に関係なく発症する可能性があります。突発的なものから徐々に進行するものまでさまざまなタイプがあり、耳だけでなく脳や神経などにも原因が潜んでいる場合があります。
日常生活に支障をきたす前に、早期に耳鼻咽喉科を受診し、適切な診断と対処を受けることが大切です。特に高齢者では「加齢による自然な現象」として放置されがちですが、治療や補聴器などで聞こえを改善できるケースも少なくありません。
「聞こえが悪い」症状の背景には、耳の構造や神経、生活習慣、病気などさまざまな原因が関与しています。主な原因を以下に紹介します。
耳の外側から鼓膜までの「外耳」、および鼓膜の奥の「中耳」に異常があると、音の伝達が妨げられて聞こえが悪くなることがあります。代表的なものとして以下が挙げられます。
音の振動が電気信号に変換される「内耳」や、それを脳に伝える「聴神経」に異常があると、音そのものが正しく処理されなくなります。以下のような疾患が関与します。
耳から入った音を処理する脳の領域に問題があると、「音は聞こえるけれど言葉が理解できない」という状態になることがあります。脳卒中や脳腫瘍、神経変性疾患などが原因となることがあります。
聞こえにくさには個人差がありますが、次のような症状が見られる場合には、何らかの聴覚異常がある可能性があります。
周囲の会話がぼんやりとしか聞こえず、特に複数人での会話や騒がしい場所で話の内容がつかみにくくなります。特定の音域(高音・低音)のみが聞こえにくくなるケースもあります。
これまでの音量では不十分に感じるようになり、テレビやスマートフォンの音を大きくする習慣がつきます。家族や周囲の人から「音が大きすぎる」と指摘されることも増えます。
耳鳴り(ジー、キーン、ブーンなどの音)は、聴力低下と同時に現れることが多く、内耳や聴神経のトラブルを示唆します。
耳の中に液体がたまる中耳炎などでは、自分の声がこもって聞こえるようになる「自己聴取」が起こることがあります。
内耳の障害では、音が割れて聞こえる、歪んで聞こえるなど、単なる音量低下とは異なる症状が出現することがあります。
聞こえのトラブルに対して、耳鼻科ではさまざまな検査を行い、原因の特定と治療方針の決定を行います。
まずは耳の中を直接観察し、耳垢の詰まりや炎症、鼓膜の異常などを確認します。耳鏡や内視鏡を使って外耳や鼓膜の状態を詳しく見ることができます。
音の高さ(周波数)と大きさ(音圧)を変えながら、どの音がどの程度聞こえているかを調べる検査です。伝音難聴、感音難聴、混合性難聴など、難聴のタイプを判断する上で非常に重要な検査です。
言葉の聞き取り能力を調べる検査で、「音は聞こえるが言葉として理解できない」ようなケースで有効です。語音明瞭度の測定により、補聴器が有効かどうかの判断にもつながります。
中耳の気圧バランスや鼓膜の動きを測定し、中耳炎や耳管機能不全の有無を調べます。滲出性中耳炎や鼓膜穿孔の診断に有効です。
脳の聴覚経路に問題があるかを調べる検査です。乳幼児や高齢者で、通常の聴力検査が難しい場合にも使われます。
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