
鼻の奥の痛みについて
鼻の奥の痛みについて
「鼻の奥の痛み」は、風邪やアレルギーなどの軽い不調から、副鼻腔炎(いわゆるちくのう症)や鼻中隔の異常といった病気まで、さまざまな原因で起こりうるものです。鼻の奥は、鼻の入り口から喉へとつながる複雑な空間になっており、ここには嗅覚や呼吸を支える重要な機能が集中しています。
鼻の奥の痛みは、放置していると頭痛や顔の痛み、嗅覚の低下、咳など他の症状につながることもあります。また、蓄膿(ちくのう)のように、慢性化することで生活の質を大きく損なう可能性もあるため、早めの診断と治療が大切です。
鼻の奥に痛みを感じる原因には、いくつかの代表的な病気や状態があります。以下に主な原因を挙げて説明します。
風邪などの感染症の影響で、鼻の奥やその周辺にある副鼻腔という空洞が炎症を起こすと、鼻の奥に強い痛みを感じることがあります。特に眉間や目の奥、ほおの奥あたりがズキズキと痛む場合、副鼻腔炎の可能性が高いです。膿がたまり、鼻水の色が黄色や緑色になることもあります。
急性副鼻腔炎が長引いて慢性化すると、鼻の奥が継続的に重く痛むようになります。鼻づまりや膿のような鼻水、においがわからないなどの症状も併発することがあり、時には耳の違和感や咳の原因になることもあります。
鼻の真ん中を仕切っている「鼻中隔」が曲がっていると、片側の鼻の奥が圧迫され、痛みや違和感が出ることがあります。鼻詰まりが慢性的にある方に多く見られる原因です。
ハウスダストや花粉などのアレルゲンが原因で鼻の粘膜が炎症を起こすと、かゆみだけでなく、鼻の奥にヒリヒリとした痛みを感じることがあります。特に花粉の季節や空気が乾燥する時期に悪化しやすいです。
まれに、鼻の奥(鼻咽腔)にできものや腫瘍ができている場合もあります。初期は鼻詰まりや軽い痛み程度ですが、進行すると強い痛みや鼻血などを引き起こすことがあります。持続的な痛みがある場合は、耳鼻咽喉科での精密検査が必要です。
鼻の奥の痛みは、その原因によって以下のような症状を伴うことがあります。
副鼻腔炎の特徴。特に頭を下げたときに痛みが増すことがあります。
慢性的な鼻詰まりがある場合は、鼻中隔弯曲やアレルギー性鼻炎の可能性があります。
感染による炎症で膿が混じった鼻水が出る場合があります。
炎症が嗅覚をつかさどる部分に広がると、においがわからなくなることがあります。
鼻水が喉に流れ込む感覚があるときは、副鼻腔炎のサインかもしれません。
副鼻腔の炎症が神経に影響を与えると、頭や顔の一部に痛みが広がることがあります。
このような症状が複数当てはまる場合、自己判断せず耳鼻科を受診することが推奨されます。
耳鼻咽喉科では、鼻の奥の痛みの原因を明らかにするために、いくつかの検査を組み合わせて行います。
まずは症状の経過や、過去の病歴、アレルギー歴などを丁寧に確認します。その上で、鼻鏡や内視鏡を使って鼻腔の中を観察します。鼻の奥の粘膜の腫れ具合、膿の有無、構造の異常などを確認することができます。
専用の細い内視鏡を鼻の中に挿入し、鼻腔の奥や副鼻腔の開口部(オスティウム)を直接観察します。粘膜の腫れやポリープ、膿のたまり具合などを詳しく把握でき、鼻の奥に痛みの原因となる病変があるかどうかを調べるのに非常に有効です。
副鼻腔の状態を詳しく見るために、顔面のX線撮影やCT(コンピュータ断層撮影)を行うことがあります。副鼻腔内の膿のたまり、粘膜の肥厚、鼻中隔の弯曲などが画像で可視化され、正確な診断に役立ちます。CTは特に副鼻腔炎の診断や手術の判断材料として非常に有用です。
においがわからないという症状がある場合には、嗅覚検査を行います。実際ににおいのある物質を用いて、どの程度においを感じられるかをチェックします。
鼻の奥の痛みがアレルギーによる可能性がある場合、血液検査や皮膚テストなどでアレルゲンを特定する検査を行うことがあります。特定の花粉やハウスダストなどが原因であるかを確認します。
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