
鼻血がよく出る
鼻血がよく出る
血は医学的には「鼻出血(びしゅっけつ)」と呼ばれ、鼻腔内の血管が破れることで出血する状態です。通常は一時的なもので自然に止まることが多いですが、頻繁に起こる場合や出血量が多い場合は、何らかの病気が隠れていることもあります。特に小さなお子さまや高齢者に多く見られる症状であり、適切な診断と対策が必要です。
鼻血が頻繁に出ることで、日常生活に支障をきたすだけでなく、体調や持病と関係しているケースもあるため、軽視せず耳鼻科での診察を受けることが大切です。
鼻血の原因は大きく「局所的な要因」と「全身的な要因」に分けることができます。どちらの要因にも複数の要素が関係しており、特に繰り返す鼻血の場合は、鼻そのものの異常だけでなく、体全体の複合的な原因が絡んでいることもあります。
鼻の内部にある「キーゼルバッハ部位」と呼ばれる場所は、毛細血管が密集しているため非常に出血しやすくなっています。日常のちょっとした刺激でもこの部位が傷つくと、鼻血が出やすくなります。
鼻を強くかんだり、指でいじることで鼻の粘膜を傷つけることがあります。特に小さなお子さまは無意識に鼻をほじる習慣があるため、鼻血を繰り返すことが多くなります。
冬場やエアコンの使用によって空気が乾燥すると、鼻の粘膜がカサカサになり、ひび割れやすくなります。乾いた粘膜はもろく、ちょっとした刺激でも簡単に出血してしまいます。鼻の中の保湿が不十分な状態が続くと、出血が慢性化することもあります。
アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎では、鼻水やくしゃみ、鼻づまりといった症状により頻繁に鼻をかむことになり、粘膜への負担が増します。また、アレルギー反応によって鼻の血管が拡張し、破れやすい状態になることもあります。
副鼻腔に膿がたまると、炎症が鼻の粘膜にも波及し、慢性的な鼻出血を起こすことがあります。副鼻腔炎が原因の場合、鼻血とともに膿性鼻汁(ねばついた鼻水)が出たり、口臭を伴うこともあります。
転倒やぶつけた際に鼻を強く打つことで出血するのは当然ですが、鼻の中の異物(たとえば子どもがビーズやおもちゃの一部を詰めた場合)による粘膜損傷も、鼻血の原因となります。
まれに、鼻腔や副鼻腔にできた腫瘍(鼻ポリープ、血管腫、がんなど)が出血の原因となることもあります。片側だけから出る鼻血が頻繁に続く場合や、血に膿が混ざっている場合は、腫瘍の可能性も考慮されます。
鼻以外の体の状態や病気が関係して、鼻血が出やすくなるケースもあります。以下に、よく見られる全身的要因を挙げます。
高血圧の方は、常に血管に強い圧力がかかっているため、細い毛細血管が破れやすくなります。特に冬場や入浴直後、睡眠中など血圧の変動が大きいタイミングで鼻血が起きることがあります。出血の量が多く、なかなか止まりにくいのが特徴です。
血液の中に含まれる「血小板」や「凝固因子」の異常によって、出血しやすくなったり、止血がうまくいかなくなったりします。代表的な病気には、白血病や血小板減少症、血友病などがあり、鼻血が初期症状として現れることもあります。
肝臓には血液を正常に固める働きがあります。肝機能が低下すると、出血が止まりにくくなるため、鼻血が出やすくなることがあります。倦怠感や黄疸など、他の症状も見られることが多いです。
心臓病や脳梗塞の予防に使用される抗血栓薬(ワーファリン、アスピリンなど)を服用している方は、出血しやすくなる傾向があります。これらの薬の影響で鼻の粘膜からの出血も止まりにくくなるため、日常的なケアが必要です。
女性の場合、妊娠中や月経前後に鼻血が出やすくなることがあります。これはホルモンの変動によって粘膜が敏感になり、血流も増えるためです。
鼻血そのものは目に見える症状ですが、併発する症状や背景にはさまざまな体調変化が見られることがあります。
こういった症状が見られる場合には、単なる鼻粘膜の損傷だけでなく、慢性副鼻腔炎や腫瘍性病変、血液疾患の可能性も考えられるため、早めの受診が推奨されます。
鼻血が頻繁に出る場合、耳鼻咽喉科では以下のような検査を行い、出血の原因を総合的に判断します。
まずは問診を通じて、出血の頻度・量・出るタイミング(入浴後、鼻をかんだときなど)や、既往歴、現在の服薬状況、他の症状の有無を詳しく伺います。
耳鼻科用の内視鏡やライト付きの器具を使って、鼻の中の粘膜の状態を確認します。出血点が確認できる場合には、その場で止血処置を行うこともあります。乾燥やひび割れ、炎症の有無、ポリープの有無などもこの視診で把握可能です。
鼻血が止まりにくい、または頻繁に起こる場合には、血液の凝固機能を確認するために血液検査を行います。白血球や血小板の数、凝固因子の働き、高血圧や貧血の兆候がないかも調べます。
アレルギー性鼻炎が疑われる場合は、血液検査や皮膚テストなどでアレルギーの原因物質(ダニ、ハウスダスト、花粉など)を特定します。これにより、原因に応じた治療方針を立てることができます。
副鼻腔炎や腫瘍などが疑われる場合には、鼻腔や副鼻腔の構造を確認するためにCTやレントゲン検査を実施します。鼻血の背景にある重篤な疾患の見逃しを防ぐうえで有用な検査です。
高血圧が関係しているかを調べるため、診察時に血圧を測定することもあります。
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