
めまいについて
めまいについて
「めまい」は、日常的に多くの方が経験する症状の一つです。ふらつく、ぐるぐる回る、立ちくらみがするといった感覚があり、突然発症することもあります。特に中高年の方や女性に多く見られる傾向がありますが、若年層や子どもにも起こり得る症状です。
めまいは、耳の異常による「耳性めまい」が原因であることが多く、耳鼻咽喉科が対応する重要な領域の一つです。放っておくと日常生活に支障をきたすだけでなく、転倒などの事故につながることもあります。また、脳や神経の疾患が背景にある場合もあり、見逃せない体のサインといえるでしょう。
めまいは、体のバランスを保つシステム(内耳、視覚、筋肉・関節、脳)に異常が起こることで生じます。主な原因は以下の通りです。
最も頻度が高い耳性めまいです。頭の位置を変えたときに一瞬グルグルと回る感覚があり、数十秒でおさまるのが特徴です。内耳の中にある耳石が本来の位置から外れてしまい、バランスを取る機能が誤作動することによって起こります。
内耳のリンパ液が過剰にたまり、圧が上がることでめまい発作が生じます。繰り返しのめまいとともに、耳鳴り、難聴、耳閉感などの症状が現れます。ストレスや疲労、睡眠不足がきっかけとなることがあります。
ウイルス感染などをきっかけに内耳から脳へ信号を送る「前庭神経」が炎症を起こし、突然の激しい回転性めまいを引き起こします。聴力は保たれることが多いのが特徴です。
ある日突然、耳の聞こえが悪くなるとともに、めまいを伴うことがあります。ウイルスや血流障害が関係しているとされ、発症から早期の治療が重要です。
脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などの中枢性めまいも注意が必要です。特に50代以降の方で、めまいに手足のしびれや言語障害、視覚異常が伴う場合は緊急性が高いため、すぐに医療機関を受診することが重要です。
ストレスや自律神経のバランスの乱れにより、ふわふわとした浮遊感のあるめまいが続くことがあります。特に更年期や不安症のある方に多く、体には明らかな異常がなくても症状が強く現れます。
めまいの種類や原因によって、感じ方や持続時間、伴う症状が異なります。以下は、代表的な症状の例です。
「天井がぐるぐる回る」「自分が回っているように感じる」といった、強い回転感を伴うめまいです。良性発作性頭位めまいやメニエール病、前庭神経炎などの耳の異常に多く見られます。
「ふわふわする」「地に足がつかない」といった、不安定な感覚が続くめまいです。内耳の問題に加えて、自律神経の不調や脳の異常、運動不足なども関係していることがあります。
立ち上がったときに血の気が引くような感覚があり、目の前が暗くなるような症状です。血圧の急変や貧血、自律神経の乱れが原因となることが多くあります。
これらの症状がどのように現れるか、どのくらいの頻度で続くかが、診断の手がかりとなります。
耳鼻科では、めまいの原因を正確に把握するために、問診に加えてさまざまな検査を行います。以下は代表的な検査内容です。
めまいの種類(回転性・浮動性・立ちくらみ)、発症した状況、持続時間、伴う症状(耳鳴り、難聴、吐き気など)を詳しく確認します。患者さん自身の説明が診断の重要なヒントとなります。
外耳や鼓膜の状態を観察し、中耳炎などの耳の疾患が原因になっていないかを調べます。
めまいと同時に聴力の変化がないかを調べます。特にメニエール病や突発性難聴など、内耳の障害では聴力の低下を伴うことが多いため重要な検査です。
めまいの際に目が勝手に動く「眼振(がんしん)」の有無を観察します。フレンツェル眼鏡や赤外線カメラを使って目の動きをチェックし、耳性めまいと中枢性めまいを見分けます。
良性発作性頭位めまい症の診断に用いられる検査で、特定の姿勢を取ってもらい、眼振が誘発されるかを確認します。
体のバランスがどの程度保たれているかを測定する検査で、内耳や中枢の異常を把握する手がかりになります。
脳や神経の異常が疑われる場合は、頭部のMRIやCT検査を行うことで、中枢性めまいの有無を調べます。
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