
のどのかすれ
のどのかすれ
「のどのかすれ」は、声がかすれてしまい、普段通りの声が出しづらくなる状態を指します。専門的には「嗄声(させい)」と呼ばれ、声帯や喉頭(こうとう)に何らかの異常があることが原因です。声が枯れてしまうことで、会話に支障が出たり、喉に不快感を感じたりすることがあります。短期間で自然に治るケースもあれば、長期間続くことで日常生活に大きな影響を及ぼす場合もあります。特に長引く場合には、耳鼻咽喉科での診察が重要です。
のどのかすれは風邪などの一時的な炎症から、声帯ポリープや声帯結節といった構造的な問題、さらには喉頭がんといった重大な病気まで、さまざまな要因が隠れている可能性があります。早期発見・早期治療のためにも、正確な診断が欠かせません。
のどのかすれを引き起こす原因は非常に多岐にわたります。主な原因には以下のようなものがあります。
声を多く使う職業(教師、営業職、歌手など)の方に多い原因です。大声を出し続けたり、長時間話し続けたりすることで声帯が炎症を起こし、かすれにつながります。特に喉を酷使する日が続くと、声帯にポリープや結節ができやすくなります。
風邪やインフルエンザなどでのどに炎症が起きると、声帯にも腫れが及び、声がかすれることがあります。これは一時的なもので、炎症が治まれば回復することが多いです。
花粉症やハウスダストなどのアレルギーが喉に影響を与え、違和感やかすれの原因になることがあります。また、乾燥した空気によって喉が潤いを失い、声が出しにくくなるケースもあります。
胃酸が喉まで逆流することにより、声帯を刺激して慢性的なかすれを引き起こすことがあります。特に就寝中の逆流が原因となる場合があり、自覚しづらいのが特徴です。
声帯にできるポリープや結節、または神経の異常によって声帯の動きが悪くなる「声帯まひ」も、のどのかすれの大きな原因です。これらは精密な検査で初めて分かることが多く、専門的な診断が重要です。
頻度は高くありませんが、のどのかすれが長期間続く場合には、喉頭がんの可能性も視野に入れる必要があります。特に喫煙者や飲酒習慣のある方は注意が必要です。
のどのかすれは、単に声がかすれるだけではなく、以下のような関連症状を伴うことがあります。
これらの症状が数日で自然に治る場合もありますが、1週間以上続く場合や、繰り返し起こる場合は専門医の受診をおすすめします。特に、喉にしこりを感じる、声がまったく出なくなる、飲み込みにくいといった症状がある場合は、緊急性が高くなります。
当院では、患者様の声やのどの状態を詳細に診察・検査して、のどのかすれの原因を明らかにします。具体的な検査内容は以下の通りです。
問診
最初に、いつから声がかすれるようになったか、どのような状況で悪化するか、喫煙や飲酒の習慣、胃の不調があるかなど、生活背景も含めて丁寧に確認します。
のどの視診・聴診
のどの赤み、腫れ、粘膜の状態を視診で確認します。声を出す際の呼吸音なども聴診します。
間接喉頭鏡検査
鏡を使って喉の奥を観察します。声帯の状態を直接確認することで、炎症や腫れの有無を調べることができます。
ファイバースコープ検査(電子内視鏡)
より詳細に喉頭や声帯の状態を確認するために、細い内視鏡(ファイバースコープ)を鼻や口から挿入して観察します。ポリープや声帯の動きの異常をリアルタイムで見ることができ、確実な診断に結びつきます。麻酔スプレーを使用するため、痛みはほとんどありません。
音声分析・音響検査
専用機器で声の周波数や音圧などを測定し、声の質や声帯機能の変化を数値として評価します。職業的に声を使う方には特に有用な検査です。
必要に応じて画像検査(CT・MRIなど)
声帯の腫瘍や神経異常が疑われる場合は、CTスキャンやMRI検査を実施することもあります。
これらの検査を通じて、炎症、腫瘍、ポリープ、神経性の異常などの原因を特定し、それに適した治療方針を立てます。
TOP