
のどにできものがある
のどにできものがある
「のどにできものがある」と感じる場合、それは実際に何らかの腫瘤(しゅりゅう)や隆起、しこりがのどの粘膜に存在しているケースと、違和感や異物感として感じるケースの両方があります。できものの正体にはさまざまな可能性があり、良性のものから悪性腫瘍まで含まれるため、早期の受診が重要です。
のど(咽頭や喉頭)は、食べ物や空気の通り道であり、声帯も位置しているため、のどのできものは「飲み込みにくい」「声がかすれる」「のどがつまるような感じがする」など、さまざまな症状として現れます。初期には自覚症状が少ない場合もあるため、違和感が続くときは注意が必要です。
のどにできものができる原因は多岐にわたります。以下に代表的なものを挙げます。
のどにできる良性の腫瘍には、声帯ポリープ、乳頭腫、線維腫、血管腫などがあります。これらは通常、ゆっくりと成長し、転移することはありませんが、場所によっては声の異常や違和感、飲み込みづらさといった症状を引き起こすことがあります。
特に声帯ポリープは、声の酷使によって生じやすく、教師や歌手、接客業など、日常的に声を使う方に多く見られます。声を出すときの振動によって声帯が炎症を起こし、その結果として腫瘤が形成されるのです。
また、乳頭腫はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって生じることがあり、再発しやすいという特徴があります。
嚢胞は、液体や粘液が溜まってできる袋状の腫瘤で、声帯嚢胞や喉頭嚢胞などが知られています。嚢胞は表面が滑らかで痛みはあまり伴いませんが、できる場所によっては声のかすれや異物感、飲み込みにくさの原因になります。
原因ははっきりしないことも多いですが、慢性的な炎症や粘液腺の出口の閉塞などが関係していると考えられています。サイズが大きくなってくると、圧迫感や呼吸困難を感じることもあります。
のどの粘膜に感染を起こすことで、一時的に腫れや腫瘤のようなものができることがあります。たとえばウイルス性咽頭炎や扁桃炎では、のどの奥に白い膿の塊のようなできものが見られることがあります。
また、細菌感染によって咽後膿瘍(いんごうのうよう)という膿の塊ができることもあり、これは重篤化する可能性があるため早期の治療が必要です。熱や強いのどの痛み、飲み込めないほどの違和感を伴うことがあります。
声を酷使する職業の方や、声の出し方に癖がある方は、声帯に「結節」や「ポリープ」といったできものを形成することがあります。声帯結節は、両側の声帯に硬い小さなこぶができるのが特徴で、声帯ポリープは通常片側に発生し、やや柔らかい構造をしています。
これらは発声時の声帯の過度な接触や摩擦によって引き起こされ、慢性的な声のかすれや声の出しづらさの原因となります。
まれに、のどにできる腫瘍が悪性であることがあります。喫煙や飲酒がリスク因子となり、初期段階では無症状のこともありますが、進行すると声のかすれ、痛み、血痰、嚥下障害などの症状が現れます。
長期間続くアレルギーや刺激(たとえば喫煙、空気汚染)によって粘膜が慢性的に炎症を起こすと、粘膜が厚くなったり、部分的に膨隆したりすることがあります。これが「できもの」のように見えることもあり、異物感やかゆみ、咳などの原因になることがあります。また、胃酸の逆流が原因で咽頭部が炎症を起こし、慢性的な腫れや腫瘤形成につながることもあります。
のどのできものは、部位や大きさによって感じ方が異なります。主な症状は以下の通りです。これらの症状が一時的なものでなく、数週間以上続く場合は、精密な検査が必要になります。
異物・圧迫感
何かがひっかかっているような感覚や、のどがつまるような感じがあります。
声のかすれ・変化
声帯付近のできものは、声がかすれる、出しにくいといった症状につながります。
嚥下困難
(飲み込みにくい)
食べ物や飲み物を飲み込むときに引っかかるような感覚がある場合、腫瘤が物理的に通り道を狭めている可能性があります。
のどの痛みや違和感
特に炎症性のできものであれば、痛みを伴うことがあります。
耳への放散痛
咽頭の神経と耳の神経は一部がつながっているため、のどの腫瘍が耳の痛みとして感じられることがあります。
のどのできものの診断には、視診だけでなく、さまざまな検査を組み合わせて行います。
問診・視診
まずは症状の経過や生活習慣(喫煙歴、職業など)を詳しく伺います。続いて、口腔内やのどを観察し、見える範囲に腫れやしこりがないかを確認します。
ファイバースコープ検査(電子内視鏡)
鼻や口から細いカメラ(ファイバースコープ)を挿入し、のどの奥や声帯まで直接観察します。粘膜の変化、しこりの有無、大きさ、色調などを詳細に確認できます。リアルタイムで映像を確認しながら説明を受けられる点も安心です。
画像検査(CT・MRIなど)
できものが大きい、または深部にある場合は、CTやMRIを用いて内部の状態を立体的に把握します。腫瘍の広がりや周囲臓器への影響を確認するのに有効です。特に悪性腫瘍の疑いがある場合には重要な検査となります。
超音波検査
首のリンパ節の腫れや、表層に近い腫瘤の大きさ・性状を確認するのに有効です。被曝がないため、安全性も高いです。
病理組織検査(生検)
できものが悪性の可能性がある場合、組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる病理検査を行います。確定診断に必要不可欠な検査です。
血液検査
炎症の有無や腫瘍マーカーなどを調べることで、全身状態や悪性腫瘍の可能性を推測する材料になります。
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