
のどの乾燥
のどの乾燥
のどの乾燥とは、喉の粘膜が適切な潤いを保てず、カラカラに乾いたような違和感や不快感が続く状態を指します。通常、喉には唾液や気道上皮から分泌される粘液があり、外気の侵入やウイルス・細菌をブロックするとともに、声を出す際の摩擦を軽減しています。しかしこの潤いが失われると、咳やむせ、声のかすれ、痛み、さらには炎症を招きやすくなり、日常生活に支障をきたします。
とくに冬場や乾燥した季節、エアコンや暖房の強い屋内では誰でも経験しやすい症状ですが、長期化すると気道のバリア機能が弱まり、風邪や副鼻腔炎、さらには肺への感染リスクも高まります。早期に原因を見極め、適切な対策を取ることが大切です。
のどの乾燥は、身近な環境や生活習慣による一過性のものから、自己免疫疾患や逆流性食道炎などの病気が背景にある場合まで原因はさまざまです。
違和感を感じたらまずは生活環境や水分摂取を見直し、それでも改善しない場合は耳鼻咽喉科を受診してください。
適切な検査を通じて原因を特定し、保湿スプレーや加湿指導、薬物療法、場合によっては専門的な処置を組み合わせた治療を行うことで、のどの潤いを取り戻し、快適な呼吸と発声をサポートします。
空気の乾燥
冬の暖房や夏の冷房、加湿不足の屋内空間では、空気中の湿度が30%以下に低下しやすく、喉の粘膜から水分が蒸発して乾燥を招きます。
埃・PM2.5などの
浮遊物
室内の埃や大気汚染物質が粘膜を刺激し、粘液の分泌量が不足することがあります。
口呼吸
鼻づまりやマスク生活によって口呼吸が習慣化すると、直接空気がのどを乾かし、唾液での潤いが行き渡りません。
水分摂取不足
忙しさやスポーツ中の水分不足は、唾液分泌を減少させ、粘膜の潤いが失われます。
喫煙・飲酒
タバコの煙やアルコールの刺激は喉の乾燥を促進し、慢性的な粘膜のダメージを引き起こします。
薬剤の副作用
抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗うつ薬などが唾液分泌を抑制し、のどの乾燥を招くことがあります。
シェーグレン症候群
自己免疫疾患の一つで、唾液腺や涙腺の機能が低下し、全身の乾燥症状(口腔乾燥・ドライアイ)が現れます。
逆流性食道炎
(GERD)
胃酸が喉まで逆流すると粘膜が刺激され、潤いが奪われるとともに慢性的な咳やむせを伴います
感染症
風邪やインフルエンザ、咽頭炎などで粘膜に炎症が起こると、粘液分泌が乱れ、喉が乾燥しやすくなります。
のどの乾燥によって現れる代表的な症状は以下の通りです。
喉に潤いがなく、常に乾いた不快感を伴います。
粘膜が乾燥すると異物感が増し、せき込みやすくなります。
声帯が潤いを失うことで摩擦が大きくなり、声がかれたり出にくくなったりします。
粘膜が傷つきやすく、痛みを感じる場合があります。
唾液の量が減ると食事や飲み物を飲み込む際に引っかかりを感じることがあります。
唾液による自浄作用が低下し、口腔内の細菌バランスが崩れるため、口臭が強くなりやすくなります。
喉の乾きが長期間続くと、咳や咳払いが習慣化してしまう場合があります。
のどの乾燥の原因を正確に特定し、適切な治療を行うには、以下のような検査を組み合わせて実施します。
問診・視診
鼻咽頭・喉頭ファイバースコープ検査
細径の内視鏡を鼻から挿入し、咽頭・喉頭・声帯の粘膜をリアルタイムで観察します。乾燥による粘膜のひび割れや萎縮、慢性炎症の有無を高精度で確認します。局所麻酔スプレーを用いるため、痛みはほとんどありません。
唾液分泌量測定(シアルサメトリー)
ガーゼや綿球を口腔内に一定時間(5分程度)置き、吸収された唾液量を測定します。ドライマウス(口腔乾燥症)との関連やシェーグレン症候群のスクリーニングに有効です。
アレルギー検査
血液検査で特異IgE抗体を測定し、花粉やハウスダスト、食物などのアレルゲンを特定します。季節性・通年性アレルギー性咽頭炎が疑われる場合に実施します。
胃食道逆流検査(pHモニタリング)
24時間連続で食道下部のpHを測定し、胃酸の逆流頻度を評価します。就寝中の喉の乾燥感・むずむず感が強い場合、逆流性食道炎の有無を調べる上で有効です。
画像検査
慢性炎症や腫瘍性病変が疑われる場合には、頸部のCTやMRI検査を行い、粘膜や周囲組織の状態を精査します。
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