
鼻詰まりについて
鼻詰まりについて
鼻詰まりは、日常生活において非常に身近な症状の一つです。「鼻がつまって息がしづらい」「片方だけつまる」「横になると悪化する」といった経験をされた方も多いのではないでしょうか。鼻は空気の通り道として、呼吸にとって重要な役割を果たしています。鼻の中には、吸い込んだ空気を加湿・加温し、細菌やウイルス、ほこりなどの異物を取り除くフィルターのような機能もあります。そのため、鼻の通りが悪くなることで呼吸が苦しくなったり、においを感じにくくなったり、集中力の低下や睡眠の質の低下にもつながる可能性があります。
鼻詰まりは、風邪などの一時的な症状から、慢性化する病気まで、さまざまな原因によって引き起こされます。軽く見られがちな症状ですが、放置してしまうと生活の質に大きな影響を与えることもありますので、気になる場合は早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
鼻詰まりの原因は一つではなく、複数の要因が重なって起こる場合もあります。以下に代表的な原因を紹介します。
最も一般的な原因の一つが、風邪などによるウイルス感染です。鼻の粘膜がウイルスに反応して腫れたり、鼻水が増えたりすることで、鼻の通りが悪くなります。通常は数日から1週間程度で自然に改善しますが、体調や免疫状態によっては長引くこともあります。
花粉やハウスダスト、動物の毛などに対するアレルギー反応により、鼻の粘膜が慢性的に腫れることで鼻詰まりが生じます。アレルギー性鼻炎では、透明なサラサラとした鼻水、くしゃみ、目のかゆみなども伴うことが多く、季節性や通年性があります。
副鼻腔炎、いわゆる「ちくのう症」も鼻詰まりの大きな原因の一つです。鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)に膿や粘り気のある鼻水が溜まることで、鼻が詰まりやすくなります。風邪をこじらせた後に起こることもあり、慢性化するとにおいがわからなくなる、頭が重いといった症状も現れます。
鼻の左右を仕切っている「鼻中隔」が曲がっている状態で、先天的にある場合や、外傷によって起こる場合があります。鼻の通りが片側だけ悪くなることが多く、慢性的な鼻詰まりの原因になります。
鼻の中にポリープができると、それが空気の通り道をふさいでしまい、鼻詰まりの原因になります。特に慢性副鼻腔炎に伴って発生することが多く、においがしにくくなることもあります。
妊娠中や月経周期に伴い、ホルモンのバランスが変化することで、鼻の粘膜が腫れやすくなり、一時的に鼻詰まりが起こることもあります。
鼻詰まりは、単に「息がしにくい」という不快感だけではなく、さまざまな形で日常生活に支障をきたします。代表的な症状を以下に紹介します。
両方の鼻が詰まる/片方だけ詰まる
症状の出方は原因によって異なります。片側だけ詰まる場合は、構造的な問題やポリープの可能性があります。
口呼吸になる
鼻での呼吸がしにくくなるため、自然と口呼吸になります。これにより口が乾きやすくなり、のどの痛みや風邪を引きやすくなるリスクも高まります。
眠りが浅くなる・いびきをかく
鼻詰まりがあると呼吸が苦しくなり、睡眠中にいびきをかいたり、ぐっすり眠れなくなったりします。日中の眠気や集中力の低下にもつながります。
においを感じにくくなる(嗅覚低下)
鼻が詰まることで空気が嗅覚を司る部分に届かず、においが分かりにくくなることがあります。これは副鼻腔炎や鼻ポリープの際に特に多く見られます。
頭が重い・額や頬の痛み
副鼻腔に膿がたまることで、顔の重だるさや痛み、頭痛を伴うことがあります。
鼻詰まりの原因は多岐にわたるため、正確な診断には耳鼻咽喉科での詳細な検査が欠かせません。原因に応じた適切な治療を行うためにも、症状の背景をしっかりと見極めることが重要です。以下に、耳鼻科で行われる主な検査方法を詳しくご紹介します。
問診・視診
検査の第一歩は、医師による丁寧な問診です。鼻詰まりの症状がいつから始まったのか、常に詰まっているのか、それとも時間帯や姿勢によって変わるのか、鼻水の色や量、においの有無、発熱・頭痛などの随伴症状の有無を確認します。また、花粉症やハウスダストなどのアレルギー歴、家族歴、喫煙の有無、生活環境も診断の重要な手がかりとなります。視診では、鼻の入り口付近をライトで照らしながら、鼻腔内の腫れ、分泌物(鼻水)の性状、粘膜の色調、構造の異常(鼻中隔の曲がりなど)を観察します。これだけでも大まかな原因を推測することができますが、より詳細な検査が必要になることが多くあります。
鼻内視鏡検査(ファイバースコープ検査)
細く柔らかいカメラ付きの内視鏡を鼻の中に挿入して、鼻の奥や副鼻腔の入り口まで詳しく観察します。鼻腔内の炎症、粘膜の腫れ、ポリープ(鼻茸)、鼻中隔弯曲の程度など、肉眼では見えない部分まで直接確認できるため、非常に有効な検査です。検査は数分で終了し、痛みを抑えるために事前に鼻腔内に局所麻酔のスプレーを使用することが多いです。患者様の負担も少なく、安全に行える検査です。
画像検査(レントゲン・CT検査)
副鼻腔炎(ちくのう症)が疑われる場合や、構造的な異常がある場合には、画像検査が有用です。
CT検査は主に慢性副鼻腔炎や鼻中隔弯曲症など、慢性・重症化した鼻詰まりの原因精査に用いられます。
アレルギー検査
アレルギー性鼻炎の可能性がある場合は、原因アレルゲン(アレルギーのもと)を特定するための検査が行われます。
アレルギーの原因が分かれば、それを避ける生活環境の工夫や、根本的な治療(舌下免疫療法など)にもつなげることが可能です。
嗅覚検査
鼻詰まりが長く続くと、においを感じにくくなることがあります。副鼻腔炎やポリープ、アレルギー性鼻炎などでは、嗅覚低下が見られることがあるため、においの識別能力を調べる検査を行う場合があります。
鼻腔通気度検査(鼻呼吸の流れを測定)
鼻の通気性、すなわち空気の流れを数値で測定する検査です。鼻づまりの程度を客観的に評価でき、治療の効果判定にも活用されます。特にアレルギー性鼻炎や鼻中隔弯曲症、ポリープの診断や治療評価に役立ちます。
TOP