
鼻呼吸が苦しい
鼻呼吸が苦しい
「息がしづらい」「鼻呼吸が苦しい」と感じることは、日常生活の質を大きく損なう症状のひとつです。通常、私たちは無意識のうちに鼻を使って呼吸をしています。鼻には吸い込んだ空気を加湿・加温し、異物を取り除くフィルターのような役割があります。しかし、鼻がうまく機能せず鼻呼吸が困難になると、口呼吸に頼らざるを得なくなり、喉の乾燥や口臭、睡眠の質の低下、さらには全身の健康にも影響が及びます。
この「鼻呼吸が苦しい」状態は、単なる風邪による一時的な鼻づまりから、慢性的な鼻炎、構造的な問題(鼻中隔の曲がりなど)まで、原因は多岐にわたります。また、アレルギー体質の人や、副鼻腔炎を繰り返す人にも多く見られる症状です。
耳鼻咽喉科では、患者様一人ひとりの症状や生活環境に合わせた診断と治療を行っています。鼻の通りが悪い、息苦しいといった症状が続く場合は、どうぞお気軽にご相談ください。早期に正確な診断と適切な治療を行うことで、快適な呼吸と健やかな日常を取り戻すことができます。
鼻呼吸が困難になる原因は大きく分けて以下のようなものがあります。
花粉やハウスダスト、動物の毛などに反応して鼻粘膜が炎症を起こし、鼻づまりが生じます。くしゃみや鼻水と併発することが多く、季節性(花粉症)と通年性(ハウスダスト・ダニなど)のものがあります。
風邪やアレルギーをきっかけに副鼻腔に炎症が起きると、膿や粘り気のある鼻水がたまり、鼻の通りが悪くなります。慢性化すると鼻の奥が常に詰まったような状態になり、においも感じにくくなります。
鼻の中を左右に仕切る壁(鼻中隔)が曲がっていると、片側または両側の鼻の通りが悪くなることがあります。生まれつきのものや、ケガによる後天的なものもあります。
副鼻腔や鼻腔内にできた良性の腫瘍(鼻茸)が空気の通り道を塞ぎ、鼻呼吸が困難になります。嗅覚障害や後鼻漏(鼻水が喉に回る)も併発することがあります。
鼻の中にある「鼻甲介(びこうかい)」という構造物が慢性的な炎症や刺激により肥大すると、空気の流れが妨げられて鼻呼吸が苦しくなります。
風邪、乾燥した空気、薬剤性鼻炎(点鼻薬の使いすぎによる鼻粘膜の腫れ)、異物混入なども、鼻呼吸を困難にする原因として挙げられます。
鼻呼吸がしづらい状態では、単に「鼻が詰まる」だけでなく、以下のようなさまざまな症状が現れます。
これらの症状が継続している場合、単なる鼻づまりではなく、根本的な治療が必要な病気が隠れている可能性があります。
耳鼻科では、鼻呼吸困難の原因を突き止めるために、以下のような検査を組み合わせて行います。
問診・視診
まずは症状の発症時期、持続期間、季節との関連、他のアレルギー症状の有無などについて丁寧に問診します。その後、鼻腔を視診し、肉眼で確認できる腫れや鼻水の状態を観察します。
鼻鏡検査(びきょうけんさ)
専用の器具を使って鼻の中を広げ、医師が直接粘膜の腫れや鼻水の性状、構造的な問題(鼻中隔の曲がりや鼻甲介肥大)を確認します。比較的簡易で苦痛の少ない検査です。
鼻内視鏡検査(ファイバースコープ)
細くて柔らかい内視鏡を鼻に挿入し、奥深くまで高精度で観察します。肉眼では見えない副鼻腔の入り口や、鼻茸の有無、粘膜の炎症などを詳しく確認でき、正確な診断に役立ちます。
CT検査
慢性副鼻腔炎や鼻茸の詳細を確認するために、頭部のCT検査を行うことがあります。副鼻腔の形状や炎症、ポリープの位置・大きさが明確に映し出され、手術が必要な場合の判断にも重要です。
アレルギー検査
鼻呼吸の障害がアレルギー性鼻炎によるものである場合、血液検査によりアレルゲン(原因物質)を特定します。IgE抗体の数値を見ることで、花粉・ダニ・動物などへの過敏反応が明らかになります。
嗅覚検査
嗅覚が低下している場合、においを感じ取る機能を評価する検査も行われます。嗅覚障害は鼻腔や副鼻腔の炎症と関係していることが多く、改善の指標としても用いられます。
鼻腔通気度検査(エアフローメーター)
鼻の通気度を数値で測定する検査で、鼻の左右それぞれの空気の通りやすさを客観的に評価します。治療前後の比較にも使われます。
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