
耳だれ
耳だれ
「耳だれ」とは、耳から液体(膿、血液、または透明な液体など)が漏れ出す症状のことを指します。通常、耳には分泌物はほとんどなく、外耳道や中耳に異常が生じると、このような耳だれが発生することがあります。耳だれは、耳の感染症や炎症を示す重要なサインであり、その内容や色、量、持続期間によって病気の種類や状態を把握する手がかりになります。
耳だれが発生した場合、その原因を特定することが非常に重要です。無理に放置せず、適切な治療を受けることが推奨されます。この記事では、耳だれの原因、症状、そして検査方法について詳しく解説します。
耳だれの原因にはさまざまなものがありますが、主に以下のような病気や症状が関係しています。
中耳炎は、耳の奥にあたる中耳が炎症を起こすことで発生します。急性中耳炎では、ウイルスや細菌による感染が原因で、耳の内部に膿がたまり、鼓膜が膨張して痛みを伴うことが多いです。膿が鼓膜を破って外耳道に漏れ出すことにより、耳だれが発生します。
慢性中耳炎は、急性中耳炎が治癒せずに長期化した状態で、鼓膜穿孔が残り定期的に膿が出ることが特徴です。この場合、耳だれが持続的に続くことがあります。
外耳道に炎症が起きる外耳道炎は、耳だれを引き起こす代表的な原因の一つです。細菌や真菌(カビ)が耳道に感染することで発症し、耳の中がかゆくなったり、痛みを伴ったりします。炎症が進行すると、膿が分泌され、それが耳だれとして現れます。
特に水泳やシャワー後に耳に水が入ったり、耳かきを頻繁に行ったりすることで外耳道炎が引き起こされることが多いです。耳掃除や耳かきは控えるようにしましょう。
耳に異物が入ることで、外耳道に傷がついたり、炎症が引き起こされたりすることがあります。異物が長時間残ると、感染症を引き起こし、耳だれが発生します。特に子どもが小さなおもちゃや物を耳に入れることが多いため、異物による耳だれには注意が必要です。
鼓膜が破れることによって、中耳の膿や液体が外耳道に漏れ出し、耳だれが発生します。鼓膜穿孔は、急性・慢性中耳炎や外的な衝撃(強い音や圧力)、外耳道に物が触れることによって起こることがあります。鼓膜に穴が開くと、本来無菌のはずの中耳内に細菌が進入し、炎症を起こしひいては耳漏を引き起こします。
耳垢が外耳道に蓄積して詰まることで、耳の中の圧力が変わり、炎症が引き起こされることがあります。耳垢の中に細菌が繁殖することもあり、その結果、耳だれが生じることがあります。時に外耳道の皮膚が一部欠損し骨が露出し、耳垢が外に排出されず耳の奥で固まってしまう外耳道真珠腫と呼ばれる特殊な疾患もあります。その場合数か月に一度の定期的な処置が必要です。
耳の手術、例えば鼓膜の修復手術や中耳の手術(鼓室形成術・乳突洞削開術)を受けた後にも耳だれが発生することがあります。これは手術後の感染や炎症が原因であり、定期的な処置や治療が必要です。
アレルギー性鼻炎は、原因物質(抗原)によって大きく二つに分かれます。
膿のような耳だれ
中耳炎や外耳道炎によく見られる症状です。膿が耳から出ると、耳の中に圧力がかかるため、痛みを伴うことが多いです。また、耳の中に異物感を感じることがあります。
透明または血液の混じった耳だれ
耳だれに血液が混じる場合は、鼓膜が破れている可能性があります。鼓膜穿孔や外耳道の外傷が原因となります。血液が混じる場合、すぐに耳鼻咽喉科の受診が必要です。
かゆみや痛みを伴う耳だれ
外耳道炎では、耳の中がかゆくなったり、痛みを伴いながら耳だれが出ることがあります。外耳道に炎症が生じることで、耳だれが発生しやすくなります。
耳の閉塞感や聴力低下
耳だれが続くと、耳の中が詰まった感じや、音がこもったように聞こえることがあります。特に中耳炎や外耳道炎が進行すると、聴力が低下することがあります。
悪臭を伴う耳だれ
感染がひどくなると、耳から出る分泌物に悪臭が伴うことがあります。これは、細菌感染が進行しているサインです。
視診(耳鏡・内視鏡検査)
まず、耳の中を詳しく調べるために耳鏡や内視鏡を使用して視診を行います。耳だれの内容物や耳の内部の状態を観察し、膿や炎症の程度を確認します。また、鼓膜に異常がないかもチェックします。
聴力検査
耳の中に異常がある場合、聴力にも影響が出ることがあります。聴力検査では、音がどの程度聞こえるかを測定し、難聴の有無を調べます。聴力低下が確認された場合、中耳や内耳に何らかの問題がある可能性があります。
鼓膜検査(ティンパノメトリー)
鼓膜の動きを調べる検査です。鼓膜の動きが制限されている場合、中耳に液体がたまっていることを示しており、これが耳だれの原因となっている可能性があります。
細菌培養検査
耳だれが膿である場合、細菌が感染している可能性があります。耳から採取した分泌物を培養して、どの細菌が原因となっているかを調べることで、適切な抗生物質を選択することができます。
画像検査(CT・MRI)
症状が長引いたり、重篤な感染が疑われる場合、CTスキャンやMRIを用いて耳の内部の構造を詳細に確認します。これにより、腫瘍や深刻な感染症の有無を調べることができます。
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