
鼻声が治らない
鼻声が治らない
「声が鼻にかかったようにこもって聞こえる」「風邪が治っても鼻声が続いている」「会話中に何度も聞き返される」といった経験はありませんか?このように、鼻に響くような声が持続する状態を一般的に「鼻声(びせい)」と呼びます。風邪の初期症状の一部として一時的に現れることもありますが、数週間から数か月にわたって続く鼻声は、何らかの疾患や構造的な問題が隠れている可能性があります。
鼻声が長引くと、「話し方に違和感がある」「相手に聞き返される」など、会話のしづらさや聞き取りづらさが生じ、日常生活や仕事・対人関係に支障をきたすこともあります。原因や症状の背景を正しく理解し、適切な診断と治療を受けることで、多くの場合は改善が見込めます。
当院では、専門的な検査を通じて原因を明らかにし、薬物療法・手術・生活改善指導など、患者様一人ひとりに合った治療を提供しています。気になる鼻声が長引いている方は、ぜひ一度ご相談ください。早期の対応が、より快適な毎日への第一歩となります。
鼻声は「声が鼻腔をうまく通過しない」または「過剰に鼻に抜けすぎる」ことによって起こります。これには以下のような原因が関与します。
もっとも一般的な原因は、鼻腔や副鼻腔が詰まって空気が通らないことによるものです。風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎(ちくのう症)などが引き金となり、鼻声が生じます。鼻腔の空気の通り道が狭くなることで、声の響き方が変わってしまうのです。
副鼻腔に膿や粘り気のある鼻水がたまることで、慢性的に鼻づまりが起こり、鼻声が持続します。とくに治療が遅れた場合、長期的に鼻声が残ることもあります。
鼻の内部構造の異常が原因となることもあります。鼻中隔(左右の鼻の仕切り)が曲がっている「鼻中隔湾曲症」や、鼻の中にポリープのような塊ができる「鼻茸(ポリープ)」は、慢性的な鼻づまりを引き起こし、結果として鼻声につながります。
先天性の病気や手術後の影響により、鼻咽腔(鼻と喉の間)を適切に閉じることができず、声が過剰に鼻に抜けてしまう状態です。このような「開鼻声(けいびせい)」では、声が「鼻から漏れているように」聞こえるのが特徴です。
鼻腔や咽頭部にポリープや腫瘍があると、空気の流れが阻害され、鼻声が生じることがあります。悪性の腫瘍が原因である可能性もあるため、長期間続く鼻声には注意が必要です。
鼻声は単独で現れることもありますが、多くの場合、他の症状と組み合わさって現れます。以下のような症状が見られる場合は、早めの受診が推奨されます。
鼻声が数日で治まる場合は経過観察でも問題ないことが多いですが、数週間以上持続する場合は、慢性的な疾患の可能性もあるため、耳鼻咽喉科での検査が必要です。
問診・視診
まず、医師が症状の経過や日常生活での困りごと、既往歴、アレルギー歴などを丁寧に聞き取ります。その上で、鼻や喉の状態をライトなどで観察し、明らかな腫れや分泌物の有無を確認します。
鼻鏡検査
専用の器具を使って鼻腔を開き、粘膜の状態や鼻中隔、鼻甲介の腫れなどを直接目視します。鼻声の原因が構造的な問題であるかどうかの初期スクリーニングに有効です。
鼻内視鏡検査(ファイバースコープ)
細い内視鏡を鼻腔に挿入して、奥深くの鼻の通路、副鼻腔の入り口、咽頭部までを観察します。鼻茸の有無、副鼻腔炎の程度、軟口蓋の運動などを詳しく評価できるため、鼻声の原因究明に非常に有用です。
CT検査(副鼻腔CT)
副鼻腔炎や鼻腔内のポリープ、骨格異常の有無を正確に把握するために、CT検査が行われます。とくに手術の可否やその計画を立てるうえでも重要な情報が得られます。
嗅覚検査
鼻声が嗅覚障害と関連している場合には、においを感じる能力を調べる検査が行われることもあります。嗅覚の低下は副鼻腔の炎症と関連が深いため、併せて評価することで治療方針の決定に役立ちます。
鼻咽腔閉鎖機能検査
声が過剰に鼻に抜けてしまう「開鼻声」の疑いがある場合、口と鼻の間にある筋肉(軟口蓋)がきちんと閉じているかを評価する検査です。内視鏡やレントゲンを用いた検査が一般的です。
アレルギー検査
アレルギー性鼻炎が原因で鼻声になっている場合、血液検査によってアレルゲン(アレルギーの原因)を調べることができます。ダニ・花粉・動物などが反応源かを特定することで、治療や生活指導に役立ちます。
TOP